Chapter-2 耳鼻科領域の頸部良性腫瘤
唾液腺疾患の超音波検査

●唾液腺腫瘤は全体の約80%が耳下腺に発生し、そのほとんどは良性の腫瘍である。耳下腺の良性腫瘍には多形腺腫やワルチン腫瘍などがある。

●多形腺腫
耳下腺腫瘍の60〜70%を占める良性腫瘍である。エコー像は、形状、内部エコーともに多様で、内部に隔壁状エコーや嚢胞成分を有することもある。

●ワルチン腫瘍(腺リンパ腫)
嚢胞成分を主体としたものが多くそれらの症例では圧迫により容易に変形する。耳下腺の後下端に位置することが多く、しばしば両側性に認められる。唾液腺の悪性腫瘍には粘表皮癌、腺様嚢胞癌、悪性多形腺腫、扁平上皮、腺癌などがある。

●一方、頸部のエコーでは唾液腺由来以外の頸部腫瘍も念頭に置く。本節では、正中頸嚢胞、側頸部嚢胞、神経原性腫瘍、頸動脈小体腫瘍、血管腫、脂肪腫などの超音波像を呈する。これらのほかに転移性リンパ節や甲状腺腫瘍なども頸部の腫瘍として認められる。

企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムヘルスケア株式会社