腎臓の超音波診断では、腎臓自体の形態を見ることと腫瘤性病変や結石などを発見することが重要である。
腎形態の変化をきたす主な原因には、(1)先天的な奇形や変異、すなわち馬蹄腎や重複腎盂、分葉、欠損など、(2)後天的原因による変形、すなわち腎梗塞などによる変形や慢性腎障害に伴う萎縮あるいは肥大、尿路閉塞による水腎(腎盂拡張)など、そして(3)腫瘤性病変がある。
一方、腎臓は結石や石灰化がよく見られる臓器である。無症状の結石は通常問題となることは少ない。尿路閉塞がある場合には基本的には水腎を伴うので、拡張した腎盂あるいは尿管を下流に追って結石などの閉塞の原因を検索することが大切である。また結石や石灰化の所見は、その形状や局在から成因をある程度分類することができる。
腫瘤や結石などの病変を発見するためには多方向からの断面を使って腎実質を観察することが大切だが、腎盂や尿路の観察には、形状が把握しやすい適切な断面がある。
企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムヘルスケア株式会社