Chapter-2 急性胆嚢炎
急性胆嚢炎の基本的な所見
胆嚢腫大(1)

胆嚢腫大(1)


発症後数時間前後に検査をすると得られる所見である。前日深夜より右季肋部に強い圧痛があり来院した症例。胆嚢は明らかに腫大し、壁は伸展し肥厚は目立たない。

胆嚢腫大(2)

胆嚢腫大(2)


本例も前日深夜より発症し、翌日来院した症例。検査時には強い疼痛があり、呼吸が止められない。極端に腫大した胆嚢内にデブリエコーが充満しているが壁の肥厚はない。

壁肥厚(層状)

壁肥厚(層状)


数日前より右上腹部痛を繰り返し来院した。胆嚢は軽度腫大し、壁は層状に肥厚し内腔にはデブリエコー内に結石が見られる。ただしこの結石とは別に嵌頓結石があった。

壁肥厚(不整)

壁肥厚(不整)


胆嚢腫大、不整な壁肥厚、デブリエコーと結石が見られる。壁の肥厚や不整の程度は、炎症での胆嚢の障害を示す所見である。

嵌頓結石の走査

嵌頓結石の走査


頸部嵌頓結石は、左側臥位で観察するとよい。右季肋部横走査で門脈の右側を注意深く見るか、写真のように右肋間走査で内腔の結石を移動して頸部を観察するのがコツである。

頸部嵌頓結石

参考症例:伝染性単核症

参考症例:伝染性単核症


伝染性単核球症の症例に見られた胆嚢壁の網目状の肥厚である。このような著明な壁肥厚は、本症のほかにも急性肝炎などの急激な浮腫によって観察されることがある。


企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムヘルスケア株式会社