Chapter-1 下肢静脈検査の手順と所見

深部静脈血栓症の検索手順

深部静脈血栓症の検索手順

●検査に先立って症状を確認し、被験者の四肢をよく確認する。
●腫脹、疼痛、色調変化の有無と範囲、肺塞栓症の既往および血液凝固線溶系検査データを確認する。特にD-dimerは血栓除外診断をして有用である。
●検査体位は被験者の全身状態に応じて選択する。
●腸骨部、大腿部は仰臥位、膝窩部、下腿部は坐位が適する。しかし体位変換が不可能な症例では、下腿部を仰臥位で検査しなければならない。その際、膝を軽く立てるか、膝関節を軽く曲げ外転させた状態で検査を行う。
●通常、大腿部、膝窩部、下腿部の順に検査を進め、血栓を有する場合、その中枢端を確認する。下肢腫脹部のやや中枢よりから原因となる病変が存在するため、緊急時はその部位から検査を開始する。

 
静脈圧迫法による判定  

静脈圧迫法による判定


探触子で皮膚の上から静脈を圧迫し静脈内腔の形態変化を観察する。信頼性の高い方法ではあるが、血栓を遊離させる危険もあり血栓の存在が確定されている部位では施行しない。

 

静脈血栓の超音波所見

静脈血栓の超音波所見

探触子で皮膚の上から静脈を圧迫し静脈内腔の形態変化を観察する。信頼性の高い方法ではあるが、血栓を遊離させる危険もあり血栓の存在が確定されている部位では施行しない。

 
大腿静脈血栓1  

大腿静脈血栓1


静脈内血栓エコーあるいは静脈非圧迫所見を認める場合、静脈血栓と診断する。その他の陽性所見では静脈血栓疑いとする。血栓を有する時、総合的に急性期と慢性期を判定する。

 
大腿静脈血栓2  

大腿静脈血栓2


膝窩静脈から抹消測が血栓閉塞している症例である。血栓の中枢端は大腿静脈にあり、血管壁への付着は確認されない。この血栓は抹消から中枢側へ進展した状態と考えられる。

 
大腿静脈血栓3  

大腿静脈血栓3


大腿静脈にエコー輝度が上昇した索状を呈する血栓像が観察されている。
Directional eFROWではこの血栓像を避けて流れる血流が検出され、完全閉塞を否定できる。

 
深部静脈血栓症の再開通例  

深部静脈血栓症の再開通例


大腿静脈に血栓像が観察されている。Directional eFROWでは大腿静脈へ合流する深大腿静脈が逆行(→)し、側副血行路として機能している。

 
大腿静脈血栓  

大腿静脈血栓


浅大腿静脈と深大腿静脈の合流部を示す。浅大腿静脈から総大腿静脈の前壁側に壁在血栓が観察されている。一見静脈壁が肥厚しているようにも見える。

 
深部静脈弁不全の合併  

深部静脈弁不全の合併


カラードプラ法では(下腿部ミルキング後)抹消測へ向かう逆行血流が検出され、深部静脈弁不全と判定できる。慢性期例では血流の有無だけでなく血流方向の確認も大切である。

 

下腿横断面の解剖図

下腿横断面の解剖図

下腿部の深部静脈は動脈を挟むように2本並走している。検査実施時、動脈・骨・筋肉を目印にカラードプラモードで抹消測をミルキングしながら観察すると静脈を同定しやすい。

 
肺血栓塞栓症:ヒラメ静脈血栓  

肺血栓塞栓症:ヒラメ静脈血栓


肺梗塞症の塞栓源検索時における下腿腓腹部断層エコー像である。ヒラメ筋内部にあるヒラメ静脈中央枝が拡張し、血栓像が観察されている。

 
大伏在静脈の弁不全  

大伏在静脈の弁不全


大伏在静脈の大腿静脈合流部を示す。下腿部をミルキングすると大腿静脈から大伏在静脈へ逆行する血流が検出され、弁不全と判定できる。なお深部静脈への逆流は検出されない。

 
不全穿通枝  

不全穿通枝


筋膜(矢頭)を貫き表在と深部を結ぶ穿通枝が拡大している。この穿通枝は下腿部をミルキングすると深部から表在側に向かう逆行血流が認められ、不全穿通枝と判定できる。


企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:株式会社日立製作所