膀胱の超音波検査は.尿をためて膀胱を伸展させて行なう。膀胱をウインドとして膀胱尿管移行部(下部尿管)も観察する。排尿後の膀胱は全体が描出不良となることが多く、膀胱壁の評価もできない。
膀胱腫瘍の既往がある患者では、尿管、腎盂などの上部尿路にも腫瘍が転移しやすいことを知っておくとよい。
前立腺肥大症は内腺領域(移行域と中心域)が肥大し、前立腺の腫大を来す。程度が進めば前立腺内に肥大結節が見られ、外形もゴツゴツした形状となる。前立腺肥大症の診断では、前立腺の大きさや形状に加え、症状の把握が重要である。
前立腺癌は外腺領域(辺緑域)に好発するので外側に凸となる所見が見られることが多い。したがって左右の対称性が失われることも所見のポイントである。
前立腺癌は精嚢腺浸潤し、次いで尿管に浸潤するケースが多い。したがって尿管拡張の発現は進行性前立腺癌を示す所見である。
経腹的超音波検査では、前立腺内のエコーレベルのわずかな差異を捉えるのは限界があり、前立腺癌を早期に発見することは難しい。早期に発見するためには腫瘍マーカーや直腸診などを組み合わせることが大切である。また深達度診断では経直腸超音波検査やMRI検査が有効である。
企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムヘルスケア株式会社