胸骨左縁長軸断面Mモードにて著明な収縮性の低下が認められる。 LVDd:65mm、LVDs:56mm、LVEF:28%、%FS:13%、LAD:51mmであった。
胸骨左縁短軸断面乳頭筋レベルにおけるA-SMA。ヒストグラムは各セグメントの内径短縮率を表しており、全体的に内径短縮率の低下を認める。 ⇒収縮性の低下を意味する。
左室流入血流波形パターン。 E/A:2.1、DcT:138msecと短縮しており拘束型を示している。 偽正常化の場合、左室流入血流波形のみでは正常との鑑別は不可能である。
肺静脈波形はS波の減高とD波の著名な増高が認められる。 収縮能が低下した症例では左室流入血流波形の正常化、偽正常化の鑑別に有用である。
三尖弁逆流の流速は収縮期の右室―右房間の圧格差を反映する。 本症例では67mmHgの圧較差が存在し、右房圧を10mmHgとすると77mmHgの肺高血圧が存在する。
肺動脈弁逆流は拡張期の右室―肺動脈間の圧較差を反映する。 拡張末期の血流を計測することにより、肺動脈拡張期圧を推測できる。推定肺動脈拡張期圧は18mmHgとなる。
拡張早期心筋速度が7cm/secと低下、左室流入血流波形との比を見ると(E/E')16と高値である。 これは左室拡張末期圧の上昇を示唆している。