深部静脈血栓症(DVT:deep vein thrombosis)は肺血栓塞栓症(PTE:pulmonary thromboembolism)の塞栓源として極めて重要であることが知られている。従来、欧米と比較し少ないとされたPTEが、近年、我が国でも増加傾向にあり、DVTの早期診断に超音波検査が用いられている。本症を疑う重要な臨床所見としては腫脹、圧痛、発赤などが知られているが、無症状で発症することも多い。特に下腹部ではその傾向は強く、中でもひらめ静脈が血栓の好発部位として注目されている。一方、静脈瘤は立位時に静脈が拡張、屈曲蛇行し、血液のうっ滞、筋肉の痙攣などをきたす疾患である。これらの診断には超音波検査をはじめ、CTやMRI、血管造影のいずれもが有効だが、診断精度が高く、簡便で繰り返し検査可能な超音波検査の果たす役割は大きい。