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足関節には多くの腱と靭帯が存在しているため、全ての腱と靭帯を認識して明瞭に描出することは難しい。障害されやすく描出しやすい靭帯と腱から確実に描出できるようにする。 |
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前距腓靭帯観察のポイント ●腓骨表面像と剥離骨片の観察
観察部位:腓骨表面と靭帯
観察部位:関節の開きを観察 アキレス腱観察のポイント ●炎症を疑う場合 下腿の肉離れ観察ポイント
●断裂の確認とその範囲の評価 |
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腓骨と距骨を触知して確認した上でプローブを当てる。この際、外側というより、前方からアプローチするように心がけると良い。 |
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丸みを帯びた腓骨と三角形の頂点のような距骨の特徴的な高輝度線状エコーを描出できる。この部位では前距腓靭帯を観察できていない。 |
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プローブを腓骨側に固定し距骨側を足先方向へわずかに回転して腓骨と距骨の間に張っている靭帯を探す。この距骨の形状変化と腱のfibrillar patternを観察する。 |
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距骨の鋭角な角が丸みを帯び、腓骨と距骨の間にfibrillar patternが見られる。距骨付着部と靭帯の性状を観察する。受傷直後は出血などにより周囲に無エコー領域が存在する場合がある。 |
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ベッドから足を出し、アキレス腱が若干張る肢位にして、踵部よりやや近位側にプローブを当てる。水袋のキットや、ゲルパッド、エコーゼリーをたっぷり塗布するなどして描出条件を良くする。 |
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踵骨の高輝度線状エコーに付着するfibrillar patternとして確認できる。付着部は腱の走行が変わるため、超音波ビームが垂直に腱に当たらないとanisotropyを起こすのでアプローチに注意を要する。 |
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アプローチする面が丸みを帯びているので、水袋のキットや、ゲルパッド、エコーゼリーをたっぷり塗布するなどして描出条件を良くする。 |
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アキレス腱は扁平な細かい点状の高エコーとして描出される。近位へスキャンすると腱は徐々に横方向へ薄く広がり筋内へ入る。 |
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肉離れを観察する場合、痛みを訴える直上を中心に走査する。発症直後は血液の溜まりが少ないため、強く圧迫すると発見できなくなる場合があるので注意が必要である。 |
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腓腹筋もヒラメ筋も筋細胞を覆っている膜が一方向性の線上高エコーに描出される。筋間の粗性結合部が低エコーに描出されている(矢印)。 |
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筋間に溜まったわずかな血種を検出するためには、解剖を理解し重力方向へプローブを走査する。長軸でも同じ走査を行う。 |
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本来は均等の厚さを持つ関節軟骨が、本例では不均等に薄くなっている(オレンジの範囲)。 |
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健側の半月板は、実質が比較的均質な高エコーで大腿骨と脛骨の関節隙に納まっているが、患側の半月板は実質が不均質で外へ脱臼している。 |
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膝蓋骨上嚢のわずかな関節液貯留も描出できる(矢印)。 |
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本来1本の脛骨粗面部高輝度線状高エコーが二重に描出された(矢印)。エコー上剥離骨折と判断する。痛みを訴える場所へ直接アプローチすることで診断できる。 |
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小児の脛骨粗面は成長と共に形状を変える。軟骨は厚く傷害がなくても、軟骨内に流入する血流も描出できる。オスグッド・シュラッター病の炎症による血流と間違えてはいけない。 |
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過去に痛みのあった膝蓋骨上方外側へアプローチすると、不連続な高輝度の骨表面が描出された(矢印)。分裂膝蓋骨と考えた。 |
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骨折部の骨表面にわずかに隆起し(矢印大)それを覆うように広範囲に低エコー不均質な血種が描出された(矢印小)。X線では骨折の情報しか得られない。 |
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右足関節は距骨と腓骨の間に丸い骨片と思われる高輝度エコーが存在し、前距腓靭帯はこの骨片に付着している。動的検査で腓骨と骨片の非連続性が確認された。 |
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腫脹したアキレス腱が描出される。断端の接合部には高エコーの瘢痕組織(矢印)が見られる。長期間観察すると、瘢痕組織のエコー輝度は徐々に薄れ周囲組織となじむが、アキレス腱自体の腫脹に著変は見られない。 |
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肉離れの範囲が広く腓腹筋とヒラメ筋の間が完全に離れ、乖離した状態。血種は無エコーで圧迫するとつぶれるため、未凝血状態。この時点で、痛みは消失している。 |
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打撲による痛みの直上にアプローチすると、腓腹筋内の筋走行の乱れと周囲が高エコーで内部が低エコーの血種が描出された(矢印)。 |
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企画・制作:超音波検査法フォーラム 協賛:富士フイルムメディカル株式会社 |