Chapter-2 腎腫瘤
血管筋脂肪腫
血管筋脂肪腫

血管筋脂肪腫


典型的な血管筋脂肪腫の超音波像は輪郭が若干不整な形状でエコー輝度が高いのが特徴である。しかし腎細胞癌にも脂肪変性が強く高輝度を呈するものがあるので安易にエコーレベルで鑑別はできない。また血管筋脂肪腫はその名のとおり、血管、筋、脂肪を成分とする良性腫瘍であり、その組織成分により内部のエコーレベルは異なり、不均一となることもある。それは比較的大きなもので顕著で、癌との鑑別が問題となることも多い。

血管筋脂肪腫(小型)

血管筋脂肪腫(小型)


小型の血管筋脂肪腫の特徴的な所見は、形状が多角形状あるいは円形で、内部エコーは輝度が高い。内部エコーのレベルはCEC(腎中心部エコー)と比べ、CECよりも高いのが典型的である。

血管筋脂肪腫(中型)

血管筋脂肪腫(中型)


腎実質内にある2cmの高エコー腫瘤で、輪郭が平滑でなく、全体がCECに比べて高エコーレベルの所見がみられる。全体的に高エコーだが内部にはさらに高輝度の点状エコーが見られる。

   
血管筋脂肪腫(中型)

血管筋脂肪腫(大型)


腎盂部に食い込むような位置にある4.5cmの高エコー腫瘤である。形状は円形で、腫瘤内部は比較的均一に見える。腎細胞癌との鑑別が必要である。


腎細胞癌
   
血管筋脂肪腫(大型)

血管筋脂肪腫(大型)


血管筋脂肪腫であっても大型のものでは内部エコーは高低不均一になることがしばしばある。本例は6.5cmのゴツゴツした形状の腫瘤。内部は不均一なエコーで全体の輝度は高い。超音波像だけでは、腎細胞癌あるいは他の悪性腫瘤との鑑別は難しい。


腎細胞癌
   

企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムメディカル株式会社