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心エコー図検査は形態のみならず、心機能を評価する機能検査である。心機能評価は機械的な収縮能のほかに、拡張能、さらには血行動態も同時に評価しなければならない。収縮能はBモード、Mモードを駆使すれば評価可能であるが、拡張能・血行動態の評価はこれらのツールでは困難を極める。通常、心エコー図検査では拡張能・血行動態を評価するのにドプラ検査法を利用する。なぜなら、ドプラ法で得られる波形は、隣接する心腔の圧(または圧較差)により波形パターン、速度が変化する。すなわち波形のパターンおよび流速は、心腔内圧を反映するといえ、臨床の実際の場で拡張能・血行動態の指標として評価される。したがって、ドプラ法は現在のルーチン検査では必須の検査法であり、唯一非観血的に心内圧を推定しうる重要なツールである。心エコー図検査を行なう上で拡張能・血行動態を評価することは難しいが、それが醍醐味でもある。しかし、様々なピットホールがあることも事実であり、それらをよく理解し正しく評価していかなければならない。
ここでは、日常ルーチンでよく使用されるカラードプラ法、パルスドプラ法、連続波ドプラ法における注意点・ポイントを解説し、後半は実際の症例で得られた画像を用い拡張能の評価、および血行動態の評価について解説する。
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