8mmに拡張した膵管がまず目立つ。膵管内には膵石エコーも見られる。頭部には音響陰影を生じる領域があり、この部位にも膵石の存在を疑わせる所見である。慢性膵炎は、膵炎の再燃を繰り返し徐々に膵臓が機能を失って行く病態である。炎症が強く起きている場所は腫れることがあり、ときには腫瘤状を呈するので膵癌との鑑別が問題となる。慢性膵炎は男性では大酒家に多く、腹痛を繰り返す症状がみられる。 |
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数カ月おきに上腹部痛を訴える患者にスクリーニング目的で超音波検査を施行した。写真は膵臓の短軸断面である。膵実質の中心にある主膵管が拡張し膵臓はドーナッツ状に見える。 |
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同症例は長軸方向の断面で、膵石とその尾側の膵管の拡張が見られる。膵実質が萎縮し菲薄化しているのが分かる。慢性膵炎では膵実質が萎縮していると膵臓自体が見つけにくくなる。 |
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実質に厚みのない膵臓だがこの断面では膵頭体部に膵管拡張は見られず慢性膵炎と判定できない。尾部側をよく観察すると結石エコーに気付く。 |
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同症例の膵尾部側を観察するために右下側臥位にして描出した。膵石の尾側の膵管が7mmに拡張しているのが分かる。 |
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膵臓の位置に10数mmの結石エコーが見える。比較的大きな膵石の像である。膵実質が菲薄でほとんど見られないため消化管と紛らわしいエコー像である。 |
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同症例の膵臓長軸断面では、膵臓に多発する膵石が連なる所見である。拡張膵管の内腔いっぱいに結石があると膵管を認識するのは難しい。 |
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糖尿病を指摘されたためスクリーニングを施行した。本例は検査時には症状はなかった。大動脈の腹側に音響陰影を伴うストロングエコーがある。膵石の多発した慢性膵炎の所見である。 |
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膵石(石灰化)が無数にあり膵実質は確認できない。主膵管だけでなく膵臓に瀰漫性に多発する結石像である。 |
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慢性膵炎で経過観察中の症例。今回腹痛があったので検査を施行。尾部に腫大があり、その内部エコーはやや低エコーである。本例は炎症性腫大であったが、超音波の所見は膵癌に似た画像である。 |
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左季肋部痛で来院した患者。膵臓は体部の途中から尾部側が腫大し、腫大部は低エコーになっている。心窩部からでは尾部側の情報が得られないので右側臥位での観察が必要である。 |
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尾部の全域が低エコーで腫大があり、膵管に拡張は認めない。本例は免疫学的な検査と膵管造影検査を追加し自己免疫性膵炎と診断したが、超音波検査ではこれらの自己免疫性膵炎の特徴は膵癌の所見と類似するため鑑別が問題となる。 |
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企画・制作:超音波検査法フォーラム 協賛:富士フイルムメディカル株式会社 |