Chapter-2 膵炎
膵炎
急性膵炎では、消化管麻痺によるガスの滞留のため膵臓自体が十分に観察できないことも多い。しかし消化管ガスの間から慎重に観察すれば、膵腫大、内部エコーの低下もしくは高低エコーの混在などの所見が見られる。膵臓の全貌を観察することは難しいが、炎症の波及により、膵臓周囲に滲出液があれば低エコー域として認められ、あるいは胸水が描出されることもある。このような周辺所見から病勢を示す所見をとらえることは可能である。
慢性膵炎を診断するための超音波所見は膵石もしくは多発する石灰化とされている。ただし膵石のエコー像にはバリエーションがあるうえに膵実質が萎縮していると膵臓自体が認識しにくいときもある。検査時に無症状のことも多く、膵炎の存在を念頭に検査をしないと慢性膵炎を見落とすことがある。
企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムメディカル株式会社