膵臓病変の発見のためには、まず全体を観察することを心掛けなくてはならない。多くの施設では、残念ながら膵臓に関して適切な検査ができていない。膵臓の走査として少なくとも(1)膵頭部の縦断像(心窩部縦走査)、(2)膵体部の横断像(座位での心窩部横走査)、(3)膵尾部の横断像(座位もしくは右側臥位での左季肋部横走査)、(4)経脾的アプローチ(座位での左肋間走査)による膵尾部の観察を実施する必要がある。技術的には、呼吸や体位変換、圧迫による消化管ガスの移動がコツである。
膵癌の約6割は頭-体部に発生する膵管癌であり主膵管拡張を高頻度に認めるので、主膵管が3mm以上あれば慎重にその頭側を観察する。ただし膵頭部癌であっても副膵管の存在により主膵管の拡張を伴わない場合があり、また鉤状突起に発生すると主膵管と接していないこともある。したがって膵管の拡張がないことは、膵癌を否定する根拠とならない。腫瘤そのものを発見しようとすることが重要である。
膵管の拡張している症例では、膵管を頭側に追跡し腫瘍性病変がないか観察する。頭側に明らかな閉塞病変が描出されない場合には、慢性膵炎と考えがちであるが、粘液を産生する腫瘍であれば尾側にあっても下流の膵管は拡張することも忘れてはならない。膵臓の嚢胞性腫瘤を見たら、膵管拡張を伴っているか、複数の嚢胞が集簇していないか、全体の最大径が3cmを超えていないか、をチェックする。ひとつでも該当すれば、腫瘍性嚢胞の可能性があり、精密検査や慎重な経過観察が必要である。
膵臓の嚢胞性腫瘤を見たら、膵管拡張を伴っているか、複数の嚢胞が集簇していないか、全体の最大径が3cmを超えていないか、をチェックする。ひとつでも該当すれば、腫瘍性嚢胞の可能性があり、精密検査や慎重な経過観察が必要である。
企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:株式会社日立製作所