胆泥や音響陰影のはっきりしない胆石は胆嚢の隆起性病変と間違えやすい。体位変換を利用して可動性の有無を確認する。
胆嚢底部はしばしば腹壁直下の浅いところに描出される。腹壁による多重反射の影響を受けやすいので、病変の発見には注意深い観察が必要である。また、5MHzのプローブを使うのも詳細な観察によい方法である。
IIa型の早期胆嚢癌を見落とさないようにすることは重要であるが、径が1〜2mm程度のポリープを一生懸命探すのはあまり意味がない。
胆嚢の隆起性病変でもっとも多いものは、コレステロールポリープである。エコーレベルが高く、糸状の細い茎を反映する所見やポリープ内の点状の高エコーの存在が典型的である。多発することも多い。
径が1cmを越えるポリープの場合は、ポリープ癌の可能性があるので原則として手術。1cm以下であっても立ち上がりがなだらかな広基性の隆起は癌を疑う。
胆嚢癌では、壁肥厚や周囲リンパ節の腫大、肝への直接浸潤、肝転移の有無にも気をつける。
胆嚢腺筋腫症のうち底部型や分節型では内腔に腫瘤状に突出することがあるが、コメット様エコーの存在、RAS(Rokitansky-Aschoff sinus)の描出によって鑑別する。
コレステロールポリープ以外の胆嚢の良性ポリープはまれである。癌年令でない若い人の場合には良性ポリープを考えるが、癌との鑑別は困難なことが多い。
超音波内視鏡では十二指腸か胃の幽門前底部から高周波数の探触子で観察する。高周波数のプローブを使用することによって高分解能の画像を得ることができる。また、体外走査とは別の方向から観察できることも有利な点である。
企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムヘルスケア株式会社