Chapter-3 肝血管腫
肝血管腫の所見その1
血管腫高エコー型) 血管筋脂肪腫
血管腫(高エコー型) 血管筋脂肪腫


類円形の径1cm高エコー腫瘤。内部エコーパターンは粗いが均一である。
形状は滑らかな円形ではなくいわゆる多角形状を呈している。


肝臓には血管腫以外にも高エコー腫瘤は多い。本例は1.4cmの血管筋脂肪腫である。
後方に淡い音響陰影がある。

辺縁高エコー型 ブライトループ
辺縁高エコー型 ブライトループ

辺縁高エコー帯marginal strong echoは血管腫にしばしば見られる所見である。
薄い高エコー帯が見られることが多いが、本例では辺縁高エコー帯がやや厚めに見える。
このような場合には肝細胞癌に見られるブライトループとエコー画像での見分けは難しい。

C型肝炎患者に見られた肝細胞癌。
本例は11ヶ月前には高エコー腫瘤であったが、内部に分化度の異なる低エコー域が発現し、高エコー域を周辺に押し広げるように成長したことにより、血管腫の辺縁高エコー帯のような形状になった。
このような機序により肝細胞癌に見られる辺縁高エコー帯はブライトループと呼ばれる。
多発する血管腫

多発する血管腫


血管腫は複数見られることが多い。本例では多数の高エコー腫瘤が見られ、転移性肝癌の可能性を考えMRIにて精査したが、多発した血管腫であった。
近年では血管腫と他の腫瘤性病変の鑑別には、MRI、造影エコーなどが用いられる。

カメレオンサイン

カメレオンサイン


血管腫では体位変換により内部エコーレベルが変化することがあり、この現象はカメレオンサインと呼ばれる。これは血管腫に特異的な所見である。
本例は体位変換をして検査した15 分程度で内部エコーレベルが変化した。


企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムメディカル株式会社