Chapter-5 肝膿瘍
肝膿瘍の所見
多発性肝膿瘍

多発性肝膿瘍


多発した肝膿瘍である。
境界の明瞭な低エコー腫瘤で嚢胞に似ている。形状はわずかに不整があり、後方エコーの増強ははっきりしない。この後それぞれにドレナージ治療を行った。

肝膿瘍
多房性の肝膿瘍

多房性の肝膿瘍


胃切除手術後に出現した膿瘍である。
肝表面近くにある不整形嚢胞性腫瘤で、多房性の構造があり、後方エコーの増強をわずかに認める。

ガス産生性肝膿瘍

ガス産生性肝膿瘍


起因菌がガス産生菌の場合には、膿瘍内にガスエコーを認める。
本例は糖尿病患者に見られたガス産生菌による肝膿瘍である。尾状葉付近に8cm大の膿瘍があり、内部に点状の強エコーが散在している。

ガスエコー
真菌性肝膿瘍 比較例:骨髄腫の肝浸潤

真菌性肝膿瘍


比較例:骨髄腫の肝浸潤


中心にやや高エコーの点状エコーが見られる小型の低エコー腫瘤が多数認められる。
白血病の治療中に発症した真菌による多発微小膿瘍である。

多発性骨髄腫や白血病では、腫瘍細胞の浸潤が小低エコー腫瘤の多発として描出される事があり、真菌などによる微小膿瘍との鑑別が問題となる。

アメーバ性肝膿瘍
アメーバ性大腸炎

アメーバ性肝膿瘍


本例は大腸アメーバに起因する8cm大の膿瘍である。
境界が不明瞭、内部エコーは粗雑で全体が充実性腫瘤に見える。後方エコーはわずかに増強している。

アメーバ性大腸炎


この症例では、盲腸から上行結腸の壁肥厚も認め、大腸鏡にてアメーバ性大腸炎と診断された。
アメーバ性大腸炎の好発部位は、直腸と盲腸から上行結腸であることが知られている。

肝膿瘍 上行結腸

企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムメディカル株式会社