Chapter-5 胆嚢腺筋腫症
胆嚢腺筋腫症の分類
胆嚢腺筋腫症の分類

胆嚢腺筋腫症の分類


胆嚢腺筋腫症はその分布により模式図のようにタイプ分類されている。底部にある底部型(F型)、全体に分布する全体型(G型)、体部に部分的にある部分型(S型)、S型は分節状(くびれ)になることも多い。ただし実際はF型とS型が併存する場合もあり分布や形状はさまざまである。

   
腺筋腫症S型(1)

腺筋腫症S型(1)


底部に結節状の隆起がある。多重反射などのアーチファクトをうまく除ければ、内部に小嚢胞構造が複数見られることから腺筋腫症と診断できるが、胆嚢癌などとの鑑別が難しい形状である。

   
腺筋腫症S型(2)

腺筋腫症S型(2)


本例の胆嚢には体部に肥厚したくびれがあり、肥厚内部にコメット様エコーとRASを複数認める。肥厚部が三角形の形状を呈することからトライアングルサインとも呼ばれている。


トライアングルサイン
   
腺筋腫症F型

腺筋腫症F型


底部の実質性エコーは腫瘤のようにも見える。また底部の形状に変形が見られる(矢印)。この症例ではコメット様エコーやRASが見られないので腺筋腫症と判断できない。高周波の探触子で観察するとコメットやRASを認めることがあるが、それでも不明確な場合には他の画像診断を併用して胆嚢癌などとの鑑別が必要である。

   
腺筋腫症SF型

腺筋腫症SF型


体部のくびれから底部にかけて広範囲に壁肥厚があり、底部側の内腔にはスラッジが見られる。肥厚部にコメットやRASが見られないため、胆嚢癌や慢性胆嚢炎などとの鑑別が問題となった。

   
腺筋腫症SF型

同症例のカラードプラモード。twinkling artifact(矢印)は結石の存在を示唆する所見である。Bモードでストロングエコーが認識できない結石でも見られることがある。Bモードのコメット様エコーと意味合いは同様であり、本例では肥厚部の壁内結石の可能性が高い。

   
腺筋腫症G型

腺筋腫症G型


胆嚢壁全体が肥厚しているG型腺筋腫症の症例である。本例はコメット様エコーの所見が主体で、たくさんのコメット様エコーが肥厚した壁内部に連なるように分布している。


企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムメディカル株式会社