Chapter-1 頸動脈の解剖とエコー像
頸動脈の解剖とエコー像

●患者の姿勢は仰臥位で行う施設が多い。枕は使用せず顎を軽く上げる。顔を反対に傾けると広い観察範囲を得られるが、傾け過ぎには注意する。
●総頸動脈系の描出方法は、まず横断像で総頸動脈起始部から内外頸動脈までの血管走行を確認した後、長軸像を観察すると血管の全体像を把握しやすい。
●椎骨動脈系の描出方法は、まず前側面で総頸動脈の長軸像を描出し、探触子の入射角度をゆっくり外側へ傾ける。深部に椎骨の横突起とその背側に音響陰影が現れ、その間に椎骨静脈と椎骨動脈が並走行する。椎骨動脈は深部側に存在し血管径も細いが、カラードプラ法を併用することで確認は容易となる。
●日本超音波医学会「超音波による頸動脈病変の標準的評価法」では、頚部血管画像の表示方法は、短軸像は披検者の足側(下方)より眺めた像とし、長軸像は披検者の左側より眺めた像と記載されている。すなわち血管の長軸表示では、動脈血流は左側から右側へ、静脈血流はその逆方向へ流れる断面となる。しかし、表示法を規定しているものではなく、未だに施設ごとに異なっているというのが現状である。

企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムメディカル株式会社