Chapter-3 観察のポイントと異常像

●頸動脈壁は内腔側から高-低-高エコーの3層構造に描出され、内腔側から高-低エコー帯の厚さをIMTとし、動脈硬化の指標に用いられる。健常者のIMTは1.0mm以下であり、壁面は平滑で、層構造も明瞭。IMTは加齢と共に直線的に上昇するが、高齢者においても1.0mmを越えない。
●プラークplaqueとはIMCの壁面から突出した隆起病変で、1.1mm以上の厚みがあるものをいう。血流の方向が変化する血管の分岐部で起こりやすい。頸部動脈では内・外頸動脈の分岐部が高発部位となる。プラークの厚さや範囲を明瞭に描出するは、エコービームを直交させる必要がある。血管をできるだけ水平に描出することによって、結果的にプラークへエコービームが垂直に入射し、明瞭な画像が得られやすい。
●プラークを見つけるには、Bモード法とドプラ法の併用が有効である。低エコー型プラークはBモードのみでは検出しにくいことがあるので、カラードプラ法を併用することによって見逃しを防ぐことができる。
●プラークは、有無、数や厚さ、表面の形状、エコー輝度などで評価を行う。
●プラークが発達すると頸動脈内腔に狭窄や閉塞を生じるため、その狭窄率を求める必要がある。狭窄率は面積率で求める方法と、血管径の比率で求める方法があるが、両者の数値には大きな差が生じる。両方で計測し、総合的に判断することが大切である。
●直接観察できない同一血管内の高度狭窄や閉塞は、パルスドプラ法のFFT波形から中枢部や末梢部病変の存在を推定する。

企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムメディカル株式会社