Chapter-1 腎臓
腎臓を観察するビーム方向

腎臓を観察するビーム方向

探触子を充分に動かせるように側臥位にして、縦走査と横走査を併用して観察する。前腋窩線方向からの側腹部走査(1)で縦断像と横断像を描出する。また、後腋窩線方向からの縦走査(2)で腎臓の最大割面に相当する長軸断面を描出する。腎門部が描出され、腎杯と腎盂の関係が観察できる断面である。複数の腎杯や腎柱の配列が観察できる。

前腋窩線から

水腎症のある右腎の縦断像である。この方向からの腎実質の断面は腎門部を含む断面とならないため、拡張した腎杯が複数の嚢胞のように映っている。
前腋窩線方向からのアプローチでは肝臓を音響窓にすると音波が安定して入射し実質は観察しやすいが、本例のように上極は深く、下極は大腸のガスで、腎臓の端の描出は不鮮明なことも多い。

前腋窩線から

水腎症の横断像である。肝臓を通して腎臓は明瞭に観察でき、腎門部も描出されている。腎静脈が太めの場合には長軸断面では水腎症と紛らわしいときもあるが、このときには横断像で観察し、腎静脈と下大静脈との連続性をみるとよい。

後腋窩線から

水腎症のある右腎の後腋窩線方向からの縦断像である。腎杯から腎門部の外に向かって腎盂が拡張し、漏斗状を呈している。腎外腎盂は下極の高さまで描出されており、この辺りが腎盂尿管移行部に相当する。このように腎臓の全体像を腎実質から尿路にかけて把握しやすい断面である。


企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムメディカル株式会社