Chapter-5 尿路閉塞
  尿路

尿は腎乳頭から腎杯に排泄され、腎洞内の腎盂に集められる。腎杯は一側の腎に通常7−10個程度存在する。
腎盂はおよそ腎下極の高さで尿管へと連続するが、この部を腎盂尿管移行部と呼ぶ。
尿管は腸腰筋の腹側に沿って下方に走行する。途中で腸骨動静脈を乗り越えるように走行し、骨盤腔背側から膀胱へ至る。
尿管は膀胱の筋を斜めに貫いて膀胱へと連続する。この部を膀胱尿管移行部と称し、膀胱に開口する部を尿管口と呼ぶ。

膀胱に溜められた尿は、尿道から体外へ排泄されるが、男性では尿道の近位は前立腺で囲まれているため、前立腺が肥大すると尿路閉塞の原因となる。

     
     尿路閉塞の診かた

尿路系の閉塞の原因は結石、腫瘍、その他外部の腫瘤による圧迫や後腹膜線維症などがある。
片側性の水腎症であれば腎盂から尿管口までの病変と考えられる。両側水腎症では、後腹膜線維症や悪性腫瘍の腹膜播種などのように後腹膜を広範囲に侵し両側の尿管を閉塞する病変や、膀胱の病変、前立腺病変を疑って検査を進める。
尿管結石は尿管の3つの生理的狭窄部、すなわち腎盂尿管移行部、腸骨動脈との交叉部、尿管膀胱移行部にとどまりやすい。
腎盂尿管移行部では、先天的な狭窄や血管などにより狭窄をきたすことがあり、これを腎盂尿管移行部狭窄と呼ぶ。

水腎症と間違いやすいものには、腎外腎盂、傍腎盂嚢胞、拡張した腎静脈、腎洞脂肪腫症などがある。

尿管は後腹膜のすぐ裏を走行するため、悪性腫瘍の腹膜播種により容易に狭窄、閉塞をきたす。
企画・制作:超音波検査法フォーラム
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