正常の拡張のない尿管は超音波では映すことはできない。しかし尿管が拡張している場合には、尿管を追跡し閉塞や狭窄の原因を追及することができる。
背部痛や下腹部痛があり、片側の腎盂と尿管が拡張している場合には、まず原因は結石による尿管閉塞を疑う。尿管結石が停留しやすい生理的狭窄部は、腎盂-尿管移行部、尿管-総腸骨動脈交叉部、尿管-膀胱移行部の3か所である。
腎盂-尿管移行部は背側から、それより下流の尿管-総腸骨動脈交叉部、尿管-膀胱移行部は腹側からアプローチするのが描出のコツである。腹側からの中部-下部尿管のアプローチでは、消化管ガスが多い場合には、尿管の連続性を確認しながら追跡することが困難なことも多いが、総腸骨動脈との交叉部は意外に浅い位置に描出できるし、膀胱移行部は膀胱をウインドにして描出することができるので、意外に描出は難しくない。
両側の尿管が狭窄または閉塞していると考えられる場合には。後腹膜あるいは膀胱周辺の病変を疑う。後腹膜線維症、後腹膜リンパ節腫大、悪性腫瘍の腹膜播種、膀胱腫瘍などを考える。また巨大卵巣嚢腫。子宮筋腫、妊娠子宮などでも尿管を圧迫し水腎症をきたすことがあるが、水腎の程度は比較的軽い。
企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムメディカル株式会社