膵管は3mm前後を拡張の目安とする。膵管拡張は、粘液を産生する腫瘍の存在や腫瘍による膵管閉塞を示唆する重要な所見である。拡張膵管を下流側(頭部側)に追跡し、途中で追えなくなる場合には、その部位の膵癌などによる閉塞を疑わなくてはならない。ただし副膵管領域や膵鈎部領域に腫瘍が在る場合では、主膵管の拡張をきたさないことがある。 |
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頭部癌は体部での主膵管拡張を手がかりに見つけることがある。したがって軽度の拡張であっても、拡張を認めた時には、頭部まで追う必要がある。この像では主膵管の軽度拡張があるが腫瘤は描出されていない。 |
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体部で見られた拡張膵管を追跡すると、頭部に18mmの小膵癌を発見できた。頭部での主膵管の追跡は縦走査での断面が主膵管の走行方向と一致し観察しやすい。 |
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本例では体部に長径約4cmの腫瘍が描出されているが、座位での心窩部走査では腫瘍の尾部側の詳細な情報を得ることは難しい。 |
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同症例を右側臥位で走査した。体部に長径5cmの腫瘍と尾側の膵管拡張が観察できる。膵尾部の観察や尾部病変の発見には右側臥位走査が必須である。 |
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腫瘍によって閉塞するのは主譚管だけではない。本例に見られる嚢胞は、腫瘍の末梢側にある分枝膵管が閉塞し、その末梢が拡張した貯留嚢胞と呼ばれる所見である。 |
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膵体部の長径4cmの膵癌。腫瘍の末梢側の細膵管が拡張し、腫瘍の辺縁に嚢胞あるいは嚢胞状のスポットとして描出されている。 |
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企画・制作:超音波検査法フォーラム 協賛:富士フイルムメディカル株式会社 |