Chapter-1 膵癌
胆管拡張

膵頭部癌では膵管だけでなく胆管を閉塞し、しばしば胆管の拡張をきたす。したがって閉塞性黄疸の症例で、はっきりした症状のない場合には膵頭癌、総胆管癌、乳頭部癌などを想定した観察が必要である。

尾部膵管拡張

尾部膵管拡張


進行した膵頭部癌では胆管を閉塞し、黄疸で発症することが多い。本例は胆管、胆嚢の拡張があり膵頭部の検索で腫瘍が描出された。

その他の所見

膵癌の二次的な所見として、後腹膜浸潤、門脈や脾静脈への浸潤、リンパ節転移、肝転移などがある。これらは手術適応や予後を推定する上で重要なチェックポイントである。

十二指腸浸潤

十二指腸浸潤


膵頭部の低エコー腫瘤に連続して十二指腸壁の肥厚が見られるので十二指腸浸潤を示唆する所見である。膵臓に腫瘤を見つけたら、門脈や胆管など周辺にも目を向け、癌の進展を読みとることは重要である。


十二指腸侵潤
後腹膜浸潤

後腹膜浸潤


体尾部のやや不明瞭な腫瘍と上腸間膜動脈を取り巻く低エコー域が見られ、上腸間膜動脈と脾静脈の間隔も離れて見える。これらは膵癌の後腹膜への浸潤を示す像で、カフサイン(cuff sign)と呼ばれる所見である。


上腸間膜動脈

企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムメディカル株式会社